回路実験に最適!micro:BreadBoard

 micro:bitの特長の一つが「拡張性」です。micto:bit下辺には入出力用のエッジコネクタも用意されているので、さまざまな機器を接続することができます。

 さらには、集積回路やLED・各種センサーなど電子回路を接続することが可能です。そんなときに便利なのが「拡張ボード」と呼ばれるオプションです。micro:bit取付用コネクタとブレッドボードを一体化したもので、各社から販売されています。

 その中で、筆者が便利と感じたDFRobot社の「micro:BreadBoard」を紹介します。ぜひ電子回路実験にもチャレンジしてみてください。

micro:BreadBoardの概要を知り、
回路実験に挑戦しよう

(本ページ作成 2021.05.01)

micro:BreadBoard(micro:BB)

 micro:BreadBoard(以下、「micro:BB」と略記)は、DFRobot社が製造販売しているmicro:bit用拡張ボードです。

 micro:bitのエッジコネクタの信号線を利用しやすい端子台、標準サイズのブレッドボードなどをコンパクトにまとめた拡張ボードで、電子部品を使った実験や試作をするときにとても便利です。

micro:BreadBoardの特長

micro:bitとブレッドボードを一体的取扱い可能

 1枚の基板の上にブレッドボードとmicro:bitを搭載することができ、micro:bit-ブレッドボード間の配線もすっきりさせることができます。回路試作が容易になるだけでなく、移動も便利です。

オス・メス両対応端子台

 配線用のジャンパー線やコネクタの端は「オス」「メス」両方あるわけですが、micro:BBの端子台は「オス・メス両対応」になっています。他社のボードでは、「オス」「メス」いずれかということが多いのですが、どちらも使えるのは便利です。

3V・5V二系統電源に対応

 micro:BBには、USBコネクタに外部から電源を接続することができます。一部は電源レギュレターで3.3Vび降圧されmicro:bitに給電されますが、一部は端子台経由で「5V」電源として利用できます。5V系のデバイスも使うことができ便利です。

※旧バージョン(V1.0)では、端子台には3.3Vのみ接続されていました。

各部の名称と機能

 micro:BBの各部の名称と役割を紹介します(※写真に写っているmicro:bitは製品に含まれていません)。

micro:bitコネクタ

 このコネクタにmicro:bitを差し込み、micro:BBと接続します。micro:bitのpinの各端子と端子台が接続されるだけでなく、電源USBコネクタにACアダプタ等を接続すると、micro:bit動作用の電源も給電することができます。

電源USBコネクタ・スイッチ

 micro:BBの電源USBコネクタにACアダプタ・モバイルバッテリーなどを接続し、micro:bitや端子台に電源を供給します。マイクロUSBコネクタに対応しています。USB端子の電圧は5Vですが、micro:BBに搭載されている電源レギュレターで、micro:bit用の3.3Vも給電できるようになります。

 スイッチは、このUSBコネクタからの電源のON/OFFを切り替えるもので、電源ON時は横の「PWR」LEDが点灯します。

 USBコネクタにモバイルバッテリーを接続する場合、電流が少ないとバッテリー保護回路の働きで、給電が止まることがあるので、注意が必要です。

 また、このUSBコネクタからはmicro:bitへプログラム書込みはできません。プログラム書込みはmicro:bitのUSBコネクタにPCを接続してください。

ブレッドボード

 ブレッドボードは多数の穴が開いた樹脂製の板で、電子部品やリード線を穴に差し込んで電子回路をつくります。内部にはバネ状の金属板が埋め込まれていて、5つの穴(「A・B・C・D・E」「F・G・H・I・J」)が電気的に接続される仕組みになっています(写真は説明用に透明なブレッドボードを使っています。)。両端は一列内部接続されていて電源用に使うことができます。
 micro:BBには標準サイズのブレッドボードが同梱されていて、裏面の両面テープで基板に固定できるようになっています。

端子台

 micro:bitからのpin信号と電源(5V・3V・GND)が端子台に接続されていて、ここからブレッドボードに必要な接続をすることができるようになっています。

ボタン

micro:bit表面のA・Bボタンとつながっていて。同じように使えます。大きくなっているので押しやすくなっています。

基板・底板

 micro:bitコネクタ・端子台・スイッチなどが搭載されているPCB基板とアクリル製の底板の二重構造になっています。半田面に金属部品などが接触し短絡することを防いでいます。

使ってみよう

 では、実際にmicro:BBを使って回路を組んでみましょう。

micro:bitでLチカ

 マイコンを使った電子工作の定番と言えば、「Lチカ」です。マイコンの出力端子にLEDをつなぎ点灯・消灯を繰り返すというもので、文字通り、「LEDをチカチカ」させる実験回路です。

回路の説明(回路図)

 LED1本を光らせる簡単な回路ですが、マイコンで何かを制御する回路をつくるときは、ピンからの出力電流など気をつける点があります。

 micro:bitではピンからの出力電流は5mAに制限されています(詳細情報はマイクロビット財団サイト内ページの「GPIO Capabilities」に記述)。モーターなどこれを越える電流が必要な場合はトランジスターなどの付加回路が必要になります。

 今回用いるLEDは5mA程度の電流で十分明るく光るので、次のような簡単な回路で大丈夫です。抵抗値は次のような計算で求めることができます。

 この回路で、P01を「1」にするとVoutが約3Vとなり、LEDに電流が流れ点灯するようになります。P01を「0」にするとVoutは0Vになり、LEDは消灯します。

用意するもの

 micro:bit、micro:BBのほかに次のようなものが必要です。

回路の組立

 材料がそろったら回路を組んでみましょう。LEDの向きや差し込む穴などを確認しながら、LED1本・抵抗1本・ジャンパー線2本を配線します。出来上がったら2回はチェックしましょう(特に電源まわりやLED向き)。

プログラム

 回路を組んだだけではLEDは点灯しません。LEDを接続している端子の電圧を変化させる処理が必要になります。

 エッジコネクタの端子の電圧を変化させるには「高度なブロック>入出力端子」の中にある「デジタルで出力する」ブロックを使います。対象とする端子を指定しますが、今回の回路では「P1」を指定します。

 端子にかかる電圧は、値が「0」の時0V、「1」の時は約3Vとなります。

 500m秒ごとに点灯と消灯を繰り返すプログラムで回路の試験を行ってみることにします。

 「最初だけ」内の「アイコン表示(ニコ顔)」ブロックは直接LED制御とは関係ありませんが、micro:bitが動作中であることを示しための表示です。

 シミュレーターでは、P1に対応するピンが赤くなったりすることで、高い電圧に変わっていることを示しています。

動作確認

 micro:bitにプログラムを書き込むと、LEDが点滅を始めます(本回路では5Vを使用していないので、micro:bitから電力のみで駆動します)。

 手持ちのテスターでの実測値は、Vout=3.03V、Vf=2.1V、抵抗両端0.93Vでした。負荷(LED等)が接続されていない時はVoutは3.3V近くを出力するので、LED等に電流が流れると出力電圧が低下するようです。このようなことは、実際に試してみないとわからないことですね。

回路実験にあれば便利な品々

 回路実験をするには、集積回路やLEDといった電子部品が必要ですが、それ以外にもあれば便利なものがあります。筆者の経験でこれは便利というものをご紹介します。ホームセンターや通信販売で購入できます。

※販売店もご紹介していますが、在庫や送料・手数料などは各自でご確認ください。

H-PVC耐熱通信機器用ビニル電線

 導体径0.65mm単芯のビニル皮膜電線ですが、ブレッドボードの配線にちょうどよい径と硬さです。任意の長さに切って使えるので、ブレッドボード上の配線もきれいにできます。なにより市販の専用ワイヤーより安価です。

 単色10m巻や50mリールと種類がありますが、1mの長さの電線が10色入のものを重宝しています。

販売店等 

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ジャンパー線

 筆者自身は、ビニル線やこれまで購入したものに添付されているものを使っているので、特別購入していませんが、このようなものが便利だと思います。

ブレッドボード・ジャンパーワイヤー 40*6ピン 10cm

 両端が「オス-オス」「オス-メス」「メス-メス」の色つきコードです。ブレッドボード上の配線だけでなく、センサー等との接続にも便利です。amazonでも取扱があります

ワイヤーストリッパー

 ビニル電線の被膜はカッターナイフなどでもむくことができますが、やはり専用の工具があると便利です。

 電子工作では単芯で0.25~0.80(AWG30~20相当)に対応したものが便利です。筆者はフジ矢製「PP313B-165」を愛用していますがすでに廃番のようです。後継品を紹介しておきます。

販売店等

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両端ロングピンヘッダ 1×40

 サーボのコネクタなどは「メス」形ですが、これをブレッドボードに差し込むときに便利などがこのピンヘッダです。40ピンが連結していますが、ピンごとに切り離せるので、3Pや4Pコネクタに接続してブレッドボードに使うことができます。

 写真ではすでに切り離したものを紹介していますが、ピン間は2.54mm(1/10インチ)とサーボコネクタやブレッドボードの穴間隔と同じなので、何かと重宝します。

販売店等

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オマケ

 アクリルベースにブレッドボードを取り付けるのに裏面の粘着シートを使いましたが、こうすると回路を組み変えるたびに部品や配線を外して組み替えなければなりません。そこで別のブレッドボードに取り替えることが出来れば、少しは楽になるかなと考えました。

 そこでやってみたのが、「マジックタイ」と呼ばれるファスナーテープです。ブレッドボード側は底面の粘着テープの一部(マジックタイの幅の分剥離紙をカット)を使って貼り付け、アクリル板側は接着剤で固定してみました。

 こうすることで、複数のブレッドボードを取り替えて使うことができ、回路の組み換え回数を減らすことが出来ます。

まとめ

 今回micro:BreadBoardを紹介しましたが、このような実験ボードを使うとmicro:bitの可能性をより広げる電子回路実験が手軽にできるようになります。思いついたアイディアをすばやく試してみることができると、フィジカルコンピューティングの世界がより楽しめるようになります。

 また、LEDを点滅させる回路はさまざまな装置でも応用できると思います。いろんな場面で活用してください。

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